私はアメリカ留学中の交通事故がもとで車いすの生活をしているが、3年前から、県立の文化施設でサポーターと呼ばれるボランティアをしている。約150人のサポーターの中で、障害者は私一人だ。
最初は私だけが車いすのため気まずい思いをし、お客さんからも不思議そうな目で見られてプレッシャーを感じた。だが、次第にその気持ちが薄れて楽しさが増してきた。
何しろボランティア活動は、障害がうんぬんよりも全員が共通の目的を持っているのがいい。障害の有無などここでは関係ないのだ。さらに私が参加したことで施設のバリアフリーも改善されてきた。仲間たちも、集団の中に一人でも障害者がいることで日常生活の中での障害者とのつきあい方が変わり、地域のバリアフリーについて考え始めた人もいる。
障害者がボランティアなどの活動に参加して自分の姿を見せることは大切ではないかと思う。何かができないからと周りを敵対視するのではなく、自分を見せることで周りの人たちにさまざまな思いを抱かせ、物事や事態の解決をはかっていく。それが大事ではないだろうか。
(7月7日/朝日新聞より) |