音楽界で注目されている全盲の少年ピアニスト辻井伸行君(14)が10月15日夜、東京オペラシティ(東京都新宿区)のホールでリサイタルを開きます。都立久我山盲学校中学部2年生。12歳から毎秋小さな演奏会を開いてきたが今年は東京交響楽団と競演し、モーツァルトとショパンの協奏曲を披露する。
辻井君は生まれつき目が見えないが、生後間もない頃から音に対する並はずれた感覚を発揮。両親が才能を確信したのは2歳の冬。母いつ子さん(42)が歌うジングルベルを聞いて、おもちゃのピアノでメロディーを再現、4歳で本格的にピアノを開始。9歳でモスクワの障害者コンサート出演。国内最大規模の「ピティナ・ピアノコンペティション」(全日本ピアノ指導者協会主催)に小学5年生で出場し、中学2年までの部で金賞を受賞。作曲家の三枝成彰さんが「1年ごとに成長を見守っていこう」と、定期演奏会を開くよう提案しました。
「障害があるけど上手で終わるか、健常者を含めた中で群を抜くピアニストとして認められるかの正念場」と三枝さん。辻井君は「目が見えたら良かったのにとは思う。でもピアノに集中しているときは見えないことを感じない」と話しています。
(10月13日/朝日新聞より) |