30カ国・地域の政府代表や非政府組織(NGO)関係者らが参加し、障害者福祉の向上に向けた「アジア太平洋障害者の十年」最終年の政府間会合が大津市で始まりました。初日は、この10年間の取り組みや成果などを報告。会合は4日間の日程で、障害者の教育や雇用の推進、貧困層の削減など、今後10年間の具体的な行動目標を策定する予定。
61の国と地域が加盟する国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が主催。この「十年」は、6億人以上とされる世界の障害者のうち約4億人が暮らすとみられるアジア太平洋地域の障害者福祉推進を目指して制定。各政府の包括的な障害者立法が進む一方、教育や貧困などの課題は積み残され、障害のある児童や若者で学校に通えるのは10%に届かない。このため、今年5月には「十年」を12年まで延長することが決定しました。
開会式では、ESCAPのキム・ハクス事務局長が「審議は次の10年の障害者施策となり、新しい方向に踏み出すことになる。滋賀県は福祉制度の基盤を築いた故糸賀一雄氏の活動の地。糸賀氏の考え方はアジアに広まるだろう」とあいさつ。国松善次知事は「すべての人は障害者になる可能性がある。障害の有無に関係なく、地域で暮らし、働き、活動ができる社会に向けて取り組んでいる」と話しました。
この後、政府代表らがそれぞれの取り組みなどを紹介。中国の代表は「バリアフリーの建物の必要性が認識されてきた。人権と社会発展を考慮しながら、言葉だけでない生活の改善や向上、平等に取り組むことが必要だ」。インドの代表は「人間は平等でなければいけない。法律に障害者の視点が欠けていたことに気づくなど、変化が起きている」と発表しました。
開会式直後、記者会見したキム事務局長は、この10年間で施設や交通アクセスなどに進展が見られたとする一方、「心理的な障壁はなくなっていない。カンボジアやアフガニスタンなどの紛争で障害者がつくりだされている。平和的な手段で平和を達成したい」としました。
(10月26日/朝日新聞より) |