埼玉県越谷市で車いすごと乗車できる軽乗用車が事故を起こし、車いすの利用者が死亡。腰に巻くシートベルトで胸や腹を圧迫されたのが死因でした。同様の事故はこれまで仙台市、岐阜県内でも起きています。車いす利用者を保護するための車両の保安基準は未整備で、早急な法整備を望む声が出ています。
昨年、岐阜県警は事故分析を日本交通科学協議会で報告。その中で「車いすは座席でないため保安基準は適用されず、貨物と同一レベルの取り扱いになっている」と指摘。「車いす利用者は足での踏ん張りが利かず、危険が迫っていることすら認識できない人もいる」として、
・3点式以上のベルトなどで骨盤や上体を完全に拘束する
・ひじ掛けなど、体を打つ危険のある個所は衝撃吸収できる構造・部材を使う
・エアバッグを装備する
などが必要だとしています。国土交通省は「保安基準上、車いすは座席ではなく障害のある方々の補助具だが、安全性向上に向けて検討したい」。警察庁交通局は「今後の高齢化社会では、こうした車の利用の仕方が増えるだろう。国交省などと協力して対応していきたい」としています。
(6月3日/朝日新聞より) |