8月13日から開幕するアテネ五輪を聴覚障害者に楽しんでもらうため、NHKは総合テレビで生字幕放送を実施します。字幕付きの生中継は、大相撲やプロ野球、冬季オリンピックなどで行われてきましたが、夏季オリンピックでは初めてになります。
従来の字幕放送は、ドラマや情報番組など、事前に収録されていたものに限られていましたが、NHKは4年前、ニュース番組で初めて生字幕放送を開始しました。以後、紅白歌合戦の歌謡番組やスポーツ中継にまで拡大し、2002年のソルトレーク冬季オリンピックでは、スケートやスキージャンプ競技を生字幕放送しました。 今大会では、開会式のほか、野球、サッカー、マラソン、柔道の4番組の中継に生字幕を付けます。番組数では22番組、延べ47時間程度になる見込みで、ソルトレークの時の7番組、約10時間を大幅に上回ります。
柔道の生字幕放送は、今大会が初めての試みとなります。
実際の放送は、リスピーカーと呼ばれるキャスターが実況を要約し、自動音声認識装置に吹き込んだ後、生字幕変換装置を通して字幕化されます。 リスピーカーは実況を聞いて、すぐに分かりやすい言葉に言い換えなければなりませんが、丸山健一・NHKマルチメディア局統括担当部長は「(初の試みとなる)柔道の場合、この場面では柔道の技の説明をするとか、解説者に話を振るとか、相撲実況の経験を生かして実況の展開が予測できる」と話しています。
とはいえ、音声を自動的に装置に認識させるため、技や選手名を含んだ文章を、事前に辞書ソフトに登録しなければなりません。 他の競技についても辞書の更新が必要で、計一万をこえる文章を新たに辞書化しました。
これまで、生字幕を放送するスタジオが一つしかなく、長時間の放送は困難でしたが、今回からスタジオを2つに増やし、リレー方式の放送が可能になりました。 特に、15日は午後10時から翌日未明4時半まで、柔道、野球サッカーを連続して中継します。 各競技の字幕を5人一組のチームが担当し、スタジオを交代しながら放送していくといいます。
なお、アナログテレビで字幕中継を見るには専用のチューナーが必要になりますが、地上波デジタル放送に対応するテレビであればそのまま字幕放送が楽しめるということです。
字幕放送用チューナー(聴能情報誌「みみだより」470号)
NHKアテネオリンピックページ
(8月11日 読売新聞)
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